君を想う【実話】
トントンッ―
ドアを叩くノック音で、瑠奈と智也は少し離れた
「あら、邪魔しちゃったかしら?」
笑顔で入ってきたのは、瑠奈の中では天使のような看護婦さん
「智也が眠ってる間、お世話してくれた看護婦さんだよ」
瑠奈がそう言うと、智也は笑顔でお礼を言った
「ふふっ、いいのよ。彼女さんは毎日、朝から夜まできてたんだから」
看護婦さんの言葉に、智也は驚いたような表情を浮かべる
「お前、そんなこと言ってなかったじゃん」
そして、唇を少し尖らせて瑠奈を見た
「でも..ありがとな」
大きな手が瑠奈の髪をクシャッと撫でる
看護婦さんは、その光景を見てクスクスと笑った
検診が終わり、昨日の検査結果にも異常はなかったと伝えられ安心した
「ぅわっ」
看護婦さんが出ていくと同時に、智也に腕を引っ張られる
瑠奈は、そのまま智也の胸の中に収まる形になった
「ずっといてくれたんだな。すっげぇ嬉しい..」
耳元で聞こえる智也の甘く優しい声に、胸が熱くなる
このまま時が止まればいいのに..
瑠奈は離れないように、ギュッと胸に顔を埋めた