君を想う【実話】
しばらくすると、瑠奈は力ない体を起こして外へ出た



星一つない真っ暗な空



冬の寒さが体をつきぬける





智也は瑠奈のことが、嫌いになったのかな..





ただ呆然と、そんなことを考えていた






「何やってんだよ、こんな時間に」



いきなり、強い光が瑠奈を照らす



その眩しさに、目を細めながら顔を上げる



「りゅう..?」


そこには、バイクにまたがった竜の姿



「久しぶりだな!」


竜はエンジンを止めてバイクから下りた


瑠奈の家から竜の家までは五分もかからない



気付かないうちに歩いていたみたいで、すぐそこは竜のマンションだった



「で、何してんの?」


駐輪場にバイクを入れながら、竜が尋ねる



「..散歩?」


「なんで疑問形なんだよ。笑」


瑠奈の答えに呆れたように笑った



「久しぶりだし、ちょっと話さねぇ?」


竜はそう言って、返事も聞かずに瑠奈の手を取って足を進める


「いいよなんていってない〜」


「どうせ暇だろ?」


図星をさされ、渋々竜の後を歩く


二人はマンションの敷地内にあるベンチに座った
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