君を想う【実話】
「あいつ等ね?ありがと!」
瑠奈は少し歩きだしてもう一度、振り返った
「ねぇ、名前は?」
女の子は下をうつむく
その肩は、微かに震えている気がした
「私..綾の友達で..綾は私をかばったから..それなのに私は..」
振り絞るようなその声で、だいたいのことを察する
まさか一番最初に声をかけた子が、こんなにも深く関わっているなんて..
「大丈夫。綾はあんたを責めたりする子じゃないから」
瑠奈が頭に手を置くと、女の子は一瞬ビクッと体を強ばらせる
でもすぐに涙を拭いながら何度もお礼を言った
「あいつ等にはすぐ話つけてくるから。だから、綾にメールでも送ってあげて..」
このことは言わないように釘をさして、瑠奈は駐輪場に向かった
近づくにつれて聞こえる笑い声に、怒りがこみあげてくる
見ればすぐにわかる
高校デビューの半端な群れの集まり
瑠奈の姿を見ると、その女達に会話がなくなった
その時、自分がどんな表情を浮かべていたかわからない
女達が固まる光景を見ると、よっぽどひどかったのだろう