君を想う【実話】
「おめでとっ!幸せになってね、海斗の分も」
瑠奈は満面の笑みで、お兄ちゃんを見上げる
自分だって辛いのに
海斗の代わりに瑠奈を支えてくれたお兄ちゃん
そんな大切な人の幸せが、本当に嬉しかった
「..瑠奈は今、幸せか?」
そう言って、お兄ちゃんが優しい目で瑠奈を見つめた
きっと、海斗も見ているはず..
「幸せだよ」
瞼を閉じて、そう答えた
ねぇ、海斗
聞こえてるかな?
瑠奈は
幸せだよ―..
瑠奈の迷いのない答えに、お兄ちゃんは満面の笑顔を浮かべた
海斗もきっと、笑顔を浮かべてる
そんな気がした..
ザッ―..
「..瑠奈の大事な人じゃない?」
お兄ちゃんが、微笑みながら瑠奈の後ろを指差す
振り返ると、そこには智也がいた
遅いから心配したのか、智也は赤くなった鼻を隠すようにマフラーに埋める
智也とお兄ちゃんは、互いにお辞儀をして挨拶を交わしていた