君を想う【実話】
「俺、もう帰るけど..智也、瑠奈のこと幸せにしろよ。泣かしたら許さねぇかんな?笑」
お兄ちゃんの言葉に、智也は力強く頷いた
「瑠奈、いつでも連絡してこい。あと今度、親父達にも顔みせにきてやってな」
瑠奈も笑顔で頷く
お兄ちゃんは満足そうに頷いて、ポケットから煙草を二本取り出して火をつけた
一本を口でくわえて、もう一本を海斗の横に置く
「お前の願いは、ちゃんと叶ってるよ」
そして、海斗に小さくそう呟いた
「じゃぁ、またな」
お兄ちゃんは煙草をくわえながら、両手で瑠奈と智也の頭をクシャッと撫でて帰っていく
少しして振り返って、体には気をつけろ、そう言って笑った
「いい人だな..」
「うんっ」
お兄ちゃんの大きな背中が見えなくなるまで見送る
それから、智也はしゃがんでお墓に手を合わせた
真剣な横顔―
海斗と何を話してるんだろう..
煙草の煙が、澄んだ空へと吸い込まれてく
瑠奈は、それにつられるように空を見上げた
煙と空が交わる時
海斗が笑った気がした―..