君を想う【実話】
そんな電話の後に眠れるわけもなく、瑠奈はベランダに立ったまま空を見上げていた


もう何本目かもわからない煙草に火をつける


苛々すると、煙草が増えるのは癖みたいなものだ



別れて、って智也のことだよね..



脳裏には、コンビニで会った女の子が浮かぶ


それを払い除けるように、頭を左右にふった



大したことじゃないのかもしれないけど、胸がモヤモヤする..




結局、ボーッとしたまま朝を迎えてしまった



「智也、起きて」


目覚ましが鳴る前に止めて、智也の体をゆする


「ん〜るなぁ〜」


いきなり抱き絞められたかと思ったら、また寝息が聞こえた


その寝顔に悪戯したくなって、唇を重ねる


息がもれないようにしっかりと塞いで、指で鼻を軽くつまんだ


智也は眉間にしわを寄せて顔を歪める



「ぶはっ!」


案の定、すぐに起きた


「おはよっ」


瑠奈がニコッと笑うと、智也は苦笑い


そして、小さく欠伸をして用意を始める



「今日、うちで待ってれば?」


瑠奈が頷くと智也は、いってくる、と笑顔でキスをした



心配かけたくないし、電話のことは帰ってきてから話すことにした
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