君を想う【実話】
§第33章..修羅場§
寒い冬も終わりを迎えて、春の暖かさを感じる頃
もう少しで瑠奈と智也の家を挟んだ川沿いには、ピンク色の桜が咲く
あの後、女の子からは謝りの電話がきた
好きな人の幸せを願う、そう言っていた
「桜が咲いたら、みんなで花見やるらしいな」
智也がそう言って、瑠奈の髪に指を絡ませる
「らしいね。雅哉にお弁当作ってこいって言われたし」
「え〜、俺以外に食わせたくねぇ」
その拗ねた口調に、瑠奈の顔が少し緩む
膝枕されながらの智也の上目遣いは、慣れることなく胸がキュンとなる
「真二もくるって」
無邪気な笑顔を浮かべる智也
その頬を指先で優しく撫でた
真二とはあの日以来、会っていない
それは智也も同じ
避けられてるって思ってたけど、仕事が忙しかったみたいだと智也から聞いた
「そういえば、尚輝の女もくるみたいだぞ」
「ほんと!?楽しみ〜っ!」
瑠奈は目を輝かせて喜ぶ
あのいかつい..優しい尚輝に最近、彼女ができた
きっと、可愛い子なんだろうな..
久しぶりに会う人もいっぱいいて、花見の日が楽しみだった