君を想う【実話】


「ねぇ、真二って瑠奈のこと好きだったんだよね?」


いきなりの亜季の質問に、瑠奈は飲んでいたジュースを吹き出しそうになった


「な、なんで?」


明らかに挙動不振な瑠奈を見て、亜季は声をだして笑う



近づいてくる桜が、風を受けて揺れている



今、瑠奈達二人は買い物を済ませて戻る途中


みんな、お酒を買いすぎて普通のジュースを買うのを忘れていたらしい


「私、真二と同中でね。尚輝も真二の紹介なんだ」


「そうなんだ」


世の中狭いなぁ、と思いながらもう一口、ジュースを口に含む


みんなの姿が見えてきた時、亜季は足を止めて瑠奈の腕を掴んだ


「ん?どうしたの?」


瑠奈は首を傾げて亜季を見る



「瑠奈..真二には、気をつけて..」


そう言った亜季の表情は、真剣だった



「え?」


「それだけっ!」


でもすぐに笑顔に戻って、瑠奈の腕を引いて歩きだした



「瑠奈、ありがとな」


智也の大きな手が、瑠奈の頭を撫でる


亜季の言った言葉も、智也の笑顔を見たら忘れてしまった


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