君を想う【実話】


怖くて目を開けることができない..



すると、いきなり頭に何かが触れた



「えっ!?」



次の瞬間、瑠奈の体が宙に浮かんだ



顔をあげると、智也の姿



それでやっと、抱っこされていることを認識した



黙ったまま足を進める智也に、みんなが道を開ける



下からだと、智也の表情が見えない




怒って..るよね..




段々とみんなの姿が遠ざかっていく




川沿いで智也が足をとめると同時に、瑠奈の足が地についた



川に流れる桜の花びら



智也の背中を見つめる




遠く感じる距離..




「ともゃぁ..」



瑠奈は泣きそうな声で、智也の服の裾を引っ張った



「..んっ..」



振り返った瞬間に、奪われた唇



「んっ..とも..っ..」



唇を割って入ってくる智也の舌に、瑠奈も舌を絡ませる



まるで、真二とのキスを消すように..



唇を離すことなく、何度も舌を絡めあった



熱いキスに体の力が抜けていく



息を漏らしながら、目を開けると、智也が優しく微笑んだ




瑠奈の目に、涙が浮かぶ




智也は、そんな瑠奈を強く強く抱き締めた
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