君を想う【実話】
§第34章..安定§
「びっくりしたよ。最初、いきなり雅也くんが真二のこと殴ってさぁ」
あのお花見から、数日がたった
瑠奈は今、亜季と電話をしている
「..そうだったんだ」
そんなこと初めて聞いた
雅也が真二のことを殴ってたなんて..
後でお礼の電話しなきゃ、そう思いながら亜季との電話を切った
「もうすぐ四ヶ月かぁ..」
カレンダーを見ながら、一人呟く
気が付けば、智也と付き合ってからもうすぐ四ヶ月
立て続けに異性の問題があったものの、変わらずうまくいっていた
今日は智也が仕事の後、久しぶりに瑠奈の家にくることになっている
瑠奈は枕を抱き締めながら、何度も時計に目をやる
「智也、うちくんだろ?今日は辞めとけば?」
お兄ちゃんの声が、隣の部から聞こえてきた
「は?なんで?」
「親父、帰ってくるらしいよ」
それを聞いて、瑠奈は黙り込む
お兄ちゃんもそれ以上、何も言わなかった
「..よく帰ってこれるね」
誰にも聞こえないくらい小さな声で呟いた
"親父"という言葉に、下唇を噛み締める
少し、血の味がした