君を想う【実話】
「..寂しいに決まってんだろ」
智也は小さく溜め息をついて、ソファーから身をのりだした
灰皿につけた煙草がジュッと音をたてて消える
「..でも、いつかずっと一緒にいれる時がくるから」
そう言って、少し笑った
瑠奈の頬に大きな手が触れる
「それって..」
瑠奈の言葉を待たずに、智也は優しくキスをした
口の中に、微かに広がるメンソール
唇を離して、額をくっつけて見つめあう
「もう少しかかるけど、俺が一人前になったら..」
お互いの息遣いまで、鮮明に聞こえる
「結婚しよう」
静かな部屋に、智也の声だけが響いた
瑠奈は、予期せぬ言葉にポカンと口を開けたまま
それでも、智也の真剣な瞳が瑠奈を捕えて離さない
「嫌?」
意地悪に笑う智也
答えなんかわかってるくせに..
返事の変わりに、瑠奈は唇を重ねる
今度のキスは、涙で少ししょっぱかった
ねぇ、智也―
この時、確かに二人は
同じ未来を夢見てたよね
今もまだ
覚えていますか?―