君を想う【実話】
「んんっ..智也..っ」
智也は唇を重ねたままの瑠奈を抱いて、ベッドに寝かせる
二人分の体重に音を立てて軋むベッド
その音で、階段をのぼる足音が聞こえなかった..
ガチャッ―
「..っ!?」
いきなり開いたドア
瑠奈の鞄が邪魔をして、開いたのは三分の一程度
瑠奈は智也からゆっくりと体を離す
「..なに?」
いつもの瑠奈からは、想像できないほど低い声
冷めた視線が重なりあう
「久しぶりだな」
声の主は、鞄を足で蹴って再度ドアを開いた
そこに現れたのは、煙草をくわえたスーツ姿の男
「まだこんなことを..」
瑠奈と智也を交互に見て鼻で笑う
「..さすが母親の」
「あんたには関係ないっ!」
言葉を渡り、瑠奈は男を睨みつける
ドクドクと血管が激しく波打つ音が聞こえた
まるで、さっきまでの幸せが嘘かのように
脳を支配する憎悪