君を想う【実話】





コンコンッ―





「瑠奈、入るぞ」



数回のノックの後、お兄ちゃんがドアを開けて入ってきた



「どうしたの?」


着衣を整えておいてよかった、なんて思いながら、お兄ちゃんを見上げる



「いや..親父きたろ?平気だったか?」


お兄ちゃんは、ソファーに腰かけて瑠奈達を交互に見た


うん、と軽く返事をして、瑠奈は煙草に火をつける



智也は相変わらず、何も聞かずにいてくれた




家族のことだけは、例え智也にでも話したくない..




きっと智也は瑠奈が話すのを待っている




兄弟なのにみよじが違う



誰だって不思議に思うよね..





いつか話せる時がくるまで




智也の優しさに甘えてもいいかな..?






「よし、でかけるぞ」



お兄ちゃんが出ていった後、智也は伸びをしながら立ち上がった



「どこ行くの?」


「ん〜..散歩!」



こんな夜に?



そう思ったけど、大人しく頷いた



家を出ると、暖かい風が二人を包む



そのまま行き先も決めずに、バイクを走らせた
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