君を想う【実話】
「ついたぞ」
数十分走って、智也がバイクをとめたのは大きな橋の上
瑠奈の手を引いて、川が見えるベンチに腰かけた
「嫌なことあった時、よくここ来てたんだ。この空見上げると、全部ちっぽけに見えてくっから..」
智也はそう言って、空を見上げて少し笑った
これが、智也の優しさ..
ありがとう..
心の中で呟いて、瑠奈も同じように空を見上げた
「な?すげぇだろ?」
「うん..」
真っ暗な空に、丸い月と無数の星が光を放つ
邪魔するビルやマンション、高い建物が一切ない
智也が見せてくれる景色は、いつだって感動するほど綺麗で..
瑠奈には、眩しすぎるほど..
「..前に智也、瑠奈のこと月みたいって言ったじゃん?どういう意味?」
月を見てたら、ふと思い出した言葉
瑠奈は月みたいだな―
確か、そんなことを言われた気がする..
「..笑うから言わねぇ」
「けち〜っ!」
瑠奈は拗ねたフリして頬を膨らます
「ほんとに可愛いな」
智也がそう言って笑うから、なんだか恥ずかしくて顔を背けた