君を想う【実話】
‥
「瑠奈ね、大きくなったらパパと結婚するのー」
「駄目よ、瑠奈。パパはママのなんだから」
「パパはモテモテだな〜!」
「え〜僕はぁ?」
「じゃぁ、お兄ちゃんと結婚するー!」
どこにでもある、家族四人の幸せな家庭
なのに―
みんなの笑顔が、思い出せない..
「ふざけんなっ!元はといえば全部お前が―..」
「なによっ!全部、私が悪いっていうの!?あなたが―..」
思い出すのは憎しみにも悲しみにも似た、そんな顔だけ..
壊れたのはいつだったかな..
壊したのは誰だったかな..
そうだ―
壊したのは―..
「おい、風邪ひくぞ?」
ひんやりした手が瑠奈の顔を包む
「..ん?」
目を開けると、智也が微笑んでいた
「えっ!?朝っ!?」
どうやら瑠奈は眠っていたらしい
既に辺りは明るくて、朝日が顔を出していた
瑠奈をずっと抱き締めていたのか、智也の体は冷えきっている
あんな夢、久しぶりに見た..
少し痛い頭を押さえながら、智也と家に帰った