君を想う【実話】
着いた先は、昔みんなでよく遊んだテーマパークのような大きな公園


「わぁ〜懐かしいっ!」


もう閉園時間は過ぎていて、二人は車を止めて裏口から入った


「超久しぶりだわ〜」


二人だけの敷地を無駄に走り回る



思えば、雅也と二人で遊ぶのは本当に久しぶり..



「るなぁー!こっちこっち!」


展望台に続く階段から雅也が叫ぶ


あまりにも無邪気なその姿に、瑠奈は小さく笑って後を追った



「相変わらずおっせぇーな、瑠奈は!」


「女の子相手に本気で走らないでよっ!」


競争のように二人して階段を掻けあがる



「はぁ〜..疲れた..」


「ガキの頃もよくやったよな〜!瑠奈に負けたことねぇけど。笑」


頂上につくと、暗黒の闇が広がっていた


息を切らす瑠奈とは逆に、雅也は余裕の表情



明日は雨かな、なんて思いながら星一つない空を見上げた



「俺等も大人になったな」



少し背の高い望遠鏡


雅也は、そこに手をかけて呟いた



「そうだね..」


子供の頃とは見える景色が全く違う



あの頃は、望遠鏡に手が届かなくて泣いたりしたのに..



なんだか少しだけ、切なくなった
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