君を想う【実話】
それから、二人は色々なことを話した


ゆっくり話すのなんか久しぶりで、話題が尽きることはない



「そういえば、なんで浜田先輩って呼ばせてたの?」



ふと、そんな疑問が頭を霞めて聞いてみた



中学にあがる頃、いきなり言われた言葉




俺のことは今日から、先輩って呼べ―




ただたんに先輩ぶりたかったのかな、とか思ってたけど、真相は知らない



「あ〜..結局もうお前、約束破ってるしな」


空を見上げて笑いながら、雅也は煙草に火をつけた


真っ暗な闇に、白い煙がはっきりと浮かびあがる



「俺さぁ〜..」



そこまで言って、雅也は地面に視線を移した



思ったことを率直に言う雅也が、言葉に詰まるのは珍しい




「ガキの頃、お前が好きだったんだよね」




その言葉に、瑠奈はポカンと口を開ける





そんなこと、知らなかった..





「まぁ..ずっと変わってねぇけどさ」



「え..」





初めて見るような、雅也の表情に思わず声が出た



切なくて悲しい横顔



「あ〜あ、言っちった」



無理して笑う雅也



その笑顔が、瑠奈の心を締め付ける
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