君を想う【実話】
「だから、言わねぇって決めてたのに..そんな顔すんなよ」
少しの沈黙の後、雅也が瑠奈の頭をクシャッと撫でた
「..ちゃんと言ってよ」
なんでこんなことを言ったのかわからない
ただ..気持ちを伝えられない苦しみを瑠奈は知ってる
雅也が今まで、どんな気持ちでいたのか..
だから、ちゃんと受け止めてあげたかった
「..ずーっと昔からさ。気付いた時には、いつもお前がそばにいて。それは当たり前だと思ってた..」
雅也は瑠奈の頭から手をおろして、静かに話し出した
「でも..中学入る頃、瑠奈の周りには色んな男がいただろ?そん時に初めて、瑠奈のことが本気で好きだって気付いた..」
瑠奈はただ、雅也の横顔を見つめることしかできない
「幼馴染みとしてやってくために..気持ちを消すために..先輩なんて呼ばせて。なのに..結局、消えねぇんだよな..っ..」
震える声が
震える体が
今までの雅也の辛さを
想いを―
表している..
瑠奈は、そんな気持ちに気付けなかった..
あんなに近くにいたのに..