君を想う【実話】
「あっ!久しぶり!」
フルスモークの車から出てきた男は、瑠奈に片手をあげた
「久しぶり!何してるの?」
久しぶりに見る顔に、瑠奈は足を止めて笑顔をみせた
「今、帰り!瑠奈は?」
「そっか。瑠奈は、ただの買い物」
瑠奈は、そう言ってコンビニ袋を持ち上げて見せる
「こんな夜中に?送ってくよ」
男は心配そうな顔をみせ、助手席のドアを開けた
「平気だって!近いし!」
「いやいや!普通に危ないから!」
断る瑠奈に、何回も繰り返される会話
「..ん〜..じゃぁ..」
断っても無駄だと思って、瑠奈は渋々、車に乗った
男は納得したような笑顔で、瑠奈の頭をクシャッと撫でる
「道案内よろしく!だいたいならわかるけど」
そう言って、男は車内に響く爆音の音楽の音量を下げた
多分、瑠奈が一瞬、顔をしかめたのがわかったのだろう
「でも、久しぶりだな」
瑠奈は窓を少し開けて、タバコを加えて頷いた
カチッというライターの音が響く
「次、左ね」
ここを曲がれば、瑠奈の家はすぐ
車だと早いなぁ、なんて思いながら、窓の外を眺めていた