君を想う【実話】
家に帰って、シャワーを浴びた



体が段々と、赤く腫れあがっていく



「..ばっかみたい」



汚れた体を綺麗にしても、何も変わらないこと



瑠奈が一番わかってるのに..



それでもまだ、無駄な抵抗をする自分に笑えてくる




「瑠奈、風呂はいってんのか?早く出ろよ」



風呂場のドアを叩く音に、ハッと我に返った



いつも仕事に行く前に、朝風呂に入るお兄ちゃん


もうそんな時間なのかと思いながら、シャワーを止めた


タオルが体に触れるたび、痛みを感じる



「おはよっ。智也とデートだったのか?」


ソファでくつろぐお兄ちゃんを横目で見て、返事もせずに部屋に向かった


「シカトかよーっ」


お兄ちゃんの声を背中で聞きながら、逃げるように部屋に入る



口を開けば、当たり散らしてしまうから..



部屋にあったジュースを一気に飲み干して、ベッドに倒れ込む




薬指の指輪が、キラリと光った





あんなに幸せだったのに





もうまるで、遠い日を思い出すよう..





< 382 / 436 >

この作品をシェア

pagetop