君を想う【実話】
§第38章..共に§
ブォーンッ―
静かな部屋の壁に、背中を預けて耳を澄ました
もうすぐ、智也がくる
3..2..1..
ピンポーンッ―
いつもはこうやって、胸を弾ませながら、智也がくるのを待っていた
なのに、今日は重い体を起こして智也の元に向かう
瑠奈は長袖を着て、手首を隠した
「智也、お疲れ!」
智也に飛び付き、笑顔をつくる
「おぅ!これ、姉ちゃんから」
智也は片手に持った白い箱を、瑠奈の前にチラつかせて微笑んだ
「わぁーいっ!ありがと!美嘉ちゃんにメールいれとくね!」
大好きなお店のケーキを受け取って、瑠奈は無理にはしゃいでみせる
自分が自分じゃないような、見事な演技
これなら平気だ、そう思いながら作り笑顔をみせていた
二人は、手を繋いで部屋に向かう
「早くお盆休みになんねぇーかな」
ソファに体を預けて、智也はタバコに火をつける
「..三年だね」
瑠奈は智也の隣に座って、独り言のように呟いた
智也と出会ってから、ちょうど三年目
短いような長いような..
本当に、色々なことがあった三年間