君を想う【実話】



「なぁ..瑠奈」



長い長い沈黙の後、智也が口を開いた




「..幸せになるって、約束しろ」




窓から差し込む月明かりが、智也の顔を照らし出す



「俺も..俺も幸せになるから、お前も幸せになるって約束しろ」



瑠奈は視線を、智也から指輪にうつした




瑠奈は、本当に自分勝手だね..




自分から別れを切り出しといて、こんなにも悲しいなんて..




「そうすれば、離れてても..違う場所で生きてても..」




瑠奈の肩を抱く智也の腕に力が入る




「..ずっと、繋がってられるから」




智也、ごめんね..




「瑠奈..お前のことだけは、絶対に忘れねぇ」




一番、辛かったのは




「ずっと..ずっと愛してる」




あなただったよね―..





抱き締めあう胸の中、歯を食い縛って涙を流した





あの日の自分を




真二のことを




後悔しても何も変わらないのに..






でも―





あの時、涙を流していたのは





瑠奈だけじゃなかったんだね..






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