君を想う【実話】



「今日だけは、そばにいさせて」



智也はそう言って、少し笑った



瑠奈は小さく頷いて、智也を強く抱き締めた





まるで何もかもが




初めて智也を失った時のようで..





ただ一つ違うのは




二人の道は、もう二度と交わることがないということ..





智也は、理由を聞かなかった




別れることに抵抗をしなかった





今まで、智也の人生をめちゃくちゃにしてきたんだもん




最後まで自分勝手で..




智也は解放されて、ホッとしてるのかな..?





でも瑠奈は、大丈夫―





"ずっと愛してる"




"離れてても繋がってる"





その言葉だけで





これから先も、生きていけるから





そんな、言葉にできない想いを抱きながら、智也の胸で眠りについた




泣いても泣いても、涙が止まらなくて




どれだけ智也を愛していたかを再認識した




今だったらまだ、やり直せるかもしれない..




そんな揺らぐ気持ちも、目にはいった手首の傷に打ち砕かれる




大丈夫―




呪文のように、そう繰り返した

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