君を想う【実話】
光星との生活は、拓磨の時と同じようなものだった


朝起きて、仕事に行く光星を見送る


そして、家事を済ませて、光星の帰りを待つ



そんな生活の中で、瑠奈は再び夜の仕事を始めた



理由は特にない



ただ、光星と顔をあわせるのも正直、面倒だった





いつも想うのは




智也のことだけ




目を閉じて、浮かんでくるのは




大好きな智也の笑顔だけ..










「そんでさぁ―..」



光星は、瑠奈にとって、都合のいい男だった



瑠奈のことを何も知らない



何も知らないからこそ、変に気を遣われることもない




♪〜



「あ、ごめん。瑠奈だ」



鳴り響く携帯の着信音



画面を見て、再びバッグの奥に携帯を押し込んだ



「出ねぇの?」


光星は、不思議そうな顔で、瑠奈を見る


「うん」


冷静に答えたけど、頭の中はグチャグチャだった



雅也―



智也と別れてから、連絡をとっていなかった


というより、一方的に無視していた



雅也には、合わせる顔がない..



瑠奈の気持ちとは反対に、鳴り止むことのない着信音が、部屋に響いていた
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