君を想う【実話】





ツーツーッ―





携帯を片手に、瑠奈は固まっていた



もうとっくに、雅也との電話は切れている



無機質な機械音よりも、大きく聞こえる心臓の音





上手く呼吸ができない





息が苦しくて..





胸が苦しくて..





「ともゃ..っ」





瑠奈は、なんてことをしてしまったんだろう






なんで言ってくれなかったの..?






ねぇ、どうして―







「只今、大雨洪水警報が―..」





テレビから流れる警報



そんなもの、瑠奈の耳には届かずに、携帯を片手に外へ飛び出した





バシャバシャッ―





傘もささずに、ひたすら走った



激しい雨が、瑠奈の体を打ち付ける



すれ違う人の好奇の視線など、今の瑠奈には関係なかった








智也..








あなたに会いたい..









あなたに








伝えたいことがあるの―..







あなたの..







智也の秘密を知ってしまった..









< 402 / 436 >

この作品をシェア

pagetop