君を想う【実話】
ツーツーッ―
携帯を片手に、瑠奈は固まっていた
もうとっくに、雅也との電話は切れている
無機質な機械音よりも、大きく聞こえる心臓の音
上手く呼吸ができない
息が苦しくて..
胸が苦しくて..
「ともゃ..っ」
瑠奈は、なんてことをしてしまったんだろう
なんで言ってくれなかったの..?
ねぇ、どうして―
「只今、大雨洪水警報が―..」
テレビから流れる警報
そんなもの、瑠奈の耳には届かずに、携帯を片手に外へ飛び出した
バシャバシャッ―
傘もささずに、ひたすら走った
激しい雨が、瑠奈の体を打ち付ける
すれ違う人の好奇の視線など、今の瑠奈には関係なかった
智也..
あなたに会いたい..
あなたに
伝えたいことがあるの―..
あなたの..
智也の秘密を知ってしまった..