君を想う【実話】
「はぁ..はぁ..っ」
大雨の中、一時間近く走り続けた
震える体が、熱を帯びているのがわかる
♪〜
さっきから鳴り続ける携帯は、光星だろう
家に戻って、放心状態でいた瑠奈が、いきなり何も言わずに飛び出したのだから仕方ない
瑠奈の目の前には、智也の家
こんなに濡れても壊れないんだ、そんなことを思いながら、携帯の電源を切った
携帯なんて意味がない
直接、会わなきゃ..
ピンポーンッ―
震える指でチャイムを押した
「..はい。どちら様ですか?」
インターホン越しに聞こえたのは、ともママの声
こんな夜中に迷惑なのは、百も承知だ
「夜分遅くにすいません。..瑠奈です」
こんな挨拶ができたのが不思議なくらい、頭がクラクラする
そしてすぐに家の中から、バタバタと足音が聞こえてきた
「瑠奈ちゃんっ!?」
玄関のドアを開けたともママが目を丸くする
こんなびしょ濡れの姿じゃ、無理もない
「大変っ!こんなに濡れて..!早くあがって!」
ともママに手を引かれ、家の中に入った