君を想う【実話】



「で、どうしたんだよ」



そんな錯覚も、智也の言葉で現実に引き戻される



「どうしたって..瑠奈、聞いたの。智也が―..」


「あっ!あれか?俺とデートしたいのか?なんか思い出に残してやれるようなこと、全然できなかったもんなー」



瑠奈の言葉を渡り、智也は一人で話し、納得した



「..はっ?」



確かに、デートはしたいけど..




今は、そんなことが言いたいんじゃない―




「しょうがねぇな!明日、休みだし連れてってやるよ。だから早く眠れ」


「違っ―..」



瑠奈は、言いかけた言葉を飲み込んだ



「..最後のデートだな」





智也の笑顔が




あまりにも悲しくて―..





「おやすみ。ちゃんとあったかくして眠れよ」



そう言って、智也は電気を消してソファに寝転がった



瑠奈は布団に顔を埋めて、声を押し殺して泣いた






最後のデート..






今でも鮮明に




覚えてるよ







一番近くにいたのに





一番遠くに感じた夜だった..







< 405 / 436 >

この作品をシェア

pagetop