君を想う【実話】
「で、どうしたんだよ」
そんな錯覚も、智也の言葉で現実に引き戻される
「どうしたって..瑠奈、聞いたの。智也が―..」
「あっ!あれか?俺とデートしたいのか?なんか思い出に残してやれるようなこと、全然できなかったもんなー」
瑠奈の言葉を渡り、智也は一人で話し、納得した
「..はっ?」
確かに、デートはしたいけど..
今は、そんなことが言いたいんじゃない―
「しょうがねぇな!明日、休みだし連れてってやるよ。だから早く眠れ」
「違っ―..」
瑠奈は、言いかけた言葉を飲み込んだ
「..最後のデートだな」
智也の笑顔が
あまりにも悲しくて―..
「おやすみ。ちゃんとあったかくして眠れよ」
そう言って、智也は電気を消してソファに寝転がった
瑠奈は布団に顔を埋めて、声を押し殺して泣いた
最後のデート..
今でも鮮明に
覚えてるよ
一番近くにいたのに
一番遠くに感じた夜だった..