君を想う【実話】
§第40章..キス§
ジリリリッ―
けたたましい目覚ましの音で、目が覚めた
「まだ六時じゃん..」
そう呟いて、もう一度、目を閉じる
「やべ..目覚まし、いつものままだった」
智也も独り言のようにそう呟いて、目覚ましを止めた
「わりぃな、起こしたか?」
智也の声が、すぐ横で聞こえる
胸がドキッと高鳴った
「なんだ、寝てんのか..」
起きるタイミングを逃してしまった瑠奈は、寝たフリを続ける
その時
暖かい感覚が瑠奈の頬を包んだ
それが智也の手だとわかるのに、そう時間はかからなかった
「ごめんな..」
その声と共に、智也の去り行く足音が聞こえた
智也が階段をおりる音を聞きながら
瑠奈は静かに涙を流した
やっぱり、わかってたんだね
下手な芝居なんかしちゃって..
全てわかった上での
最後のデート
それなら、瑠奈は
精一杯楽しむから..
智也の好きだって言ってくれた
笑顔でいるから―..