君を想う【実話】
「一応、決めてんだけどさ。まだ昼だし、適当にブラブラするか」
「うん、なんでもいいよ」
車内には、二人の思い出の曲が流れていた
何処にも行かなくたっていい
智也が隣にいてくれれば
それでいいよ―
しばらくして車は、ある繁華街に止まった
前にみんなで来たことはあるけど、二人でくるのは初めてだった
「お、これいいな」
「ほんとだ〜。智也、好きそうだね」
買い物をしたり
「やばい..超泣けた」
「お前は、相変わらず泣き虫だな〜笑」
映画を見たり
「ねぇ、智也!これとって!可愛い!」
「言うと思った。ほら、やるよ。さっきとっといた」
ゲームをしたり
何も変わらないのに
寒くて寂しい手が
二人の距離を表す―
「暗くなるの早いね」
散々遊んだ後、空を見上げて瑠奈は呟いた
「もうすぐ冬じゃん。ま、瑠奈には夏と冬しかねぇか」
そう言って笑う智也に、瑠奈は笑い返せなくて..
一分、一秒が怖かった
刻々と近づく別れ..
智也がいなくなるのが
怖かった