君を想う【実話】


「よし、瑠奈。あそこいくか!」


「うんっ!」


瑠奈は、智也に抱き上げられて、ログハウスの上に乗った


それから、智也も軽々と登って、瑠奈の隣に座った



「きれぇー..」



「..ここは、変わらないな」




そう、ここは―




今年、初日の出を見た




二人の思い出の..





特別な場所―..





宝石のように輝く街並み





吸い込まれそうな星空





「なんで..ここに?」



瑠奈がそう聞くと、智也は寝転がって空を見上げた




「ここで見たお前が..」




二人の視線が重なりあう




「一番綺麗だったから..かな」




あの時



二人は同じことを思っていたんだ..




智也は少し照れたように笑って、空を指差した



「月..」



その指先には、丸い月が浮かんでいた



台風の次の日の空は、いつもより一段と輝いてる



「瑠奈みたいだって言ったじゃん?」


「..うん。覚えてるよ」



夜空を見上げるたびに、思っていた





なんで、瑠奈が月なんだろう、って―





瑠奈は、あんなに




輝けない..





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