君を想う【実話】
「寒くねぇか?」
「うん..」
二人の鼓動が届く距離
目を閉じて、智也の鼓動に耳を済ます
「そろそろ..いくか?」
「..うん」
智也は軽く伸びをして、ログハウスの上から飛び下りた
瑠奈は、恐る恐る下を覗き込む
「ほら、こいよ」
そんな瑠奈を見て、智也が手を広げた
「瑠奈っ!」
満面の笑みで、瑠奈の名前を呼ぶ
その瞬間、まるで吸い込まれるように、瑠奈は飛んだ
智也の大きな腕の中に―
「おし、いくか」
智也は、しっかりと瑠奈を受け止めた後、車に向かって歩きだす
瑠奈は足早に、智也の後を追い掛けた
その背中が、離れてしまわないようにと..
車に乗り込むと、中は少し肌寒い
智也もそう感じたのか、エンジンをかけて、暖房をつけた
静かな空間
会話を交わすことなく、車は走り出した
夢の時間が
終わりを告げる―
このまま、誰もいない世界に..
二人しかいない世界に
連れていってほしい―
そんなことを、本気で願った