君を想う【実話】
「瑠奈、どうした?」
その声で、瑠奈はハッと我に返る
目の前には、笑顔を浮かべたままの智也
このまま
嘘の笑顔で終わらせるつもりなの..?
「なんで..なんで、何も言わないの..っ!」
気が付けば、頭で考えるより先に、口が勝手に動いていた
「お前..」
いきなり大声を出した瑠奈に、智也は驚いた顔をみせる
「このまま本当に、別れるつもりなのっ!?」
堪えていた涙が
言葉が
「何も言わないまま..何も知らないまま..そんなのやだょ..っ」
止まらなかった
「瑠奈は、智也のことが―..」
その時―
ふわっとした香りと共に、智也に抱き締められた
こんな時でも高鳴る胸は
智也への想いの証―..
「それ以上は、言うな..」
そう呟いた智也の声は、微かに震えていた
作り笑顔の裏に、隠されていたのは
瑠奈より堪えた
溢れる涙だった―..