君を想う【実話】
「忘れないでよ..っ」
瑠奈は、智也の目を真っ直ぐ見つめたまま、そう言った
「え..?」
「瑠奈のことも二人の思い出も..全部、忘れないでよっ!」
智也の病を知りながら、こんなこと言うなんておかしいかもしれない
それでも
瑠奈のことは、忘れねぇから―
別れの時、智也は言った
俺のことは、忘れろ―
「..忘れろって言われたって、忘れてなんて..あげないから..っ」
あの時、風に包まれた言葉
智也の本当の気持ち
忘れんな―
‥
「..っ。俺みたいなイケメン、忘れられるわけねーだろ」
「..自分で..言わないでよっ」
智也は、瑠奈の髪をクシャクシャにして、涙を拭った
そして、何か吹っきれたように
瑠奈の大好きな
笑顔で笑った
「ありがとな..」
やっぱり智也には
笑顔がよく似合う..
その笑顔につられるように、瑠奈の顔にも、笑顔が浮かんだ