君を想う【実話】
瑠奈の家の少し前で、智也が足を止めた


瑠奈も智也の一歩後ろで、足を止める



「..最近、人の家とかわかんなくなるんだよ」



そう言って、振り返った智也は悲しそうに笑った



瑠奈には、かける言葉が見付からなくて..



ただ智也を見つめていた





「でも、瑠奈のことは..」




智也は、ふと優しい顔に変わって、空を見上げた




「俺の全部が、覚えてんだよ..」




まるで、永遠の




「何もかも、忘れる時がきても」




別れのような..




「この気持ちと..お前の笑顔だけは..」




そんな言葉





「忘れねぇから..」





言わないでよ..






二人の視線が重なると、智也は瑠奈の体を抱き寄せた





智也の香り




智也のぬくもり




その全てが、こんなにも愛しい..





「俺の手で、幸せにしてやりたかった..」




けど..





「いい男見つけて、幸せになれよ」








あなたは最後まで






優しい





嘘つきだったね..







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