タイトルはすぐそこに
ガチャ、、、
聞こえた。確かに聞こえた。
急いで2階の自室から玄関へ向かう。階段が邪魔で仕方がない。はやく会いたいのに、、、
階段を降り玄関に着くとすぐに飛びついた。
「おかえり、お母さん!!」
「遅いよー、もっと早く帰ってきてよ!」
やっと帰ってきた、ずっと一緒にいたかった、けど、、、
「ただいま、ちょっと一人で遊んでてね 」
お母さんはそれだけ言うと僕の肩を持ってゆっくりと引き離した。
少しでも一緒にいたいから近くで座っている。それでもお母さんは僕のことは関係なしで、部屋中を行ったり来たりしている。
10分ほどたっただろうか?
大きなバックを持ったお母さんが玄関に向かっていった。
「どこか行くの?」
不意に怖くなってつい聞いてしまった。
お母さんは困った様な顔をして黙ってしまったが笑顔に戻ると、
「少し出かけてくるわね。良い子にしてるのよ。」
と言うと、玄関の扉を開けて行こうとする。
待ってと言いたかった。でも僕が良い子にすれば二人が仲直りできるかもしれないと思うと寂しくても留守番しなければいけないと思った。
お母さんが扉を開けて振り向いた。外から夕日が射し込んで眩しかった。
「またね」
そう言ったお母さんの顔は夕日の逆光で見えなかった。
扉がゆっくりと閉まった。
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