THE 番外編。



どうしたら先生が執筆に集中してくれるか。

どうしたら先生が入稿日まで余裕をもって計画的に原稿をあげてくれるのか。


それが、ここ数ヶ月の私の悩みの種となり、今では大きく大きく、クリスマスツリー規模まで育っている。


どんなにきつく先生に当たっても、

どんなに厳しい言葉を浴びせても、

先生はいつもの外面の笑顔とオネェ言葉でかわしていく。


まだ、入稿時間に原稿が間に合わないという最悪の事態にはなっていないことが不幸中の幸いだけど、毎回毎回、今回は大丈夫だろうかと心配してしまうこっちの身にもなってほしいというものだ。


先生の基本が、一匹狼なのは知ってる。

だから、先生のペースで執筆した方が、よりいい作品が仕上がることも分かってる。

でも――…こっちも仕事なんだ。

先生の原稿一つが、私たちにとっては大きなビジネスで。

それを逃してしまうことは、すなわち私のクビを意味していて――…


「はぁ……。」


そこまで考えて、私は大きなリビングで一人、溜め息をついた。

――クリスマスの日に、私ってばなんてネガティブなことを考えているんだろう…。


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