THE 番外編。
クリスマスといえば、恋人達の聖なる日だという認識があるこの世の中で、
私だって、好きな人と一緒にクリスマスを楽しみたかった。
チラリ、と閉じられた書斎のドアに無意識に視線が行く。
――わかってる。
先生が、クリスマスなんて浮足立ったものを好まない人だっていうことくらい。
今日だって、私が来た時も、先生は何も言わなかった。
原稿も、あがってなかった。
――ということは、先生にとって今日という日は、何でもないいつもの木曜日なんでしょう?
クリスマスなんていう言葉すら、今の先生の頭の中には入ってないんだろうな――…。
分かってたけど、
分かってるからこそ、
ちょっと――…いや、かなり淋しい。
こんなに近くにいるのに。
こうして、クリスマスイブに会えたのに。
恋人としてじゃなく、作家と編集者としてでしか会えないなんて
淋しすぎるよ…――