THE 番外編。



心に小さく空いた穴を、そっと埋めるように、私は先生の夕飯の準備をしたり、部屋の片付けや、衣服の洗濯をして、なんとか気を紛らわせていた。


――私が先生の自宅を訪れて、早3時間後。

午後11時30分。

入稿時間まで、あと30分を切ったころ。


私は、夜食を渡すついでに、今の原稿の進捗状況を確認するべく、書斎のドア前に立っていた。


――コンコンッ

「先生、今大丈夫ですか?夜食をお持ちしました。」

『…うん、いいよ。入ってー』


やや遅れて、中から先生の声が聞こえた私は、ゆっくりと書斎のドアを開けた。


「…お疲れ様です。」

『ありがと。ちょうど、お腹空いてたんだよね~』


夜食のおにぎりとお茶を差し出すと、先生は全く疲れを感じさせないような顔で軽やかに受け取った。


「…原稿は、あがりそうですか?」

『あー…うん、まぁ、なんとかね。』


歯切れは悪いが、先生から前向きな返事が返ってきて、私は内心ホッとする。

良かった。今回も、なんとか入稿できそうだ。

そう、安心した矢先だった。



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