THE 番外編。



『茉子ちゃん、もうあがっていいよ。』


おにぎりの最後の一口を食べ終え、私から背を向け、パソコンに体を向けた先生から掛けられた言葉。

――それは、なぜか私の心に冷たく突き刺さった。


「え…」

『もうこんな時間でしょ?早く帰らないと、終電逃しちゃうわよ。』


私の顔も見ずに、部屋の壁に設置された時計をチラリと見た先生は、いつものトーンで言葉を紡ぐ。

終電…

そっか、年末は終電時間が遅くなること、インドアな先生は知らないんだ…。


先生が私に告げた言葉は、無情にも私の予想通り、先生がクリスマスのことなんか忘れていることを教えてくれるのに十分すぎて。


「……っ、」


思わず、息が詰まってしまって、何も言えなかった。


先生にとっては、クリスマスなんてものはあってもないようなもので。

先生にとってそれは、不必要なもので。

先生にとって見たらそれは、バカバカしいものなのかもしれない。


けど、私は――…


『・・・茉子ちゃん?』


私を呼ぶ、先生の声が、遠くに聞こえる。



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