THE 番外編。
「…昨年は、とてもお世話になりました。」
『うん』
「こちらこそ、今年もよろしくお願いします。」
『…うん』
「あとね、」
『ん…?』
彼と離れた距離の分だけ、私の想いはすでに溢れんばかりに大きくなっていたようで。
「……大好きだよ。」
『っ――!』
ああ、この人のことがどうしようもなく好きなんだと、再確認させられたのは、電話越しの千尋の声を聴いたとき。
『…俺も、雛乃のことが、どうしようもなく好きだ。』
「……ん。」
瞳を閉じて、鼓膜に伝わる彼の声だけに意識を向ける。
『早く……雛乃に会いたい。』
「……私も。」
”東京に帰ったら、真っ先に会いに行くね。”
考える間もなく、気付けばそう私は告げていた。