THE 番外編。
Happy Valentine 2016
極上男子に甘やかされて。編
2016年 2月 14日
AM8:30
私、咲坂 繭は、出勤早々えげつない現場に直面していた。
それは――…
『先生っ!こ、これ…もらってください!』
『先生!私のも…!』
まだ朝会も始まってもいない、こんな朝っぱらから病院玄関裏口付近で集まる、女子、女子、女子。
それもそのはず。
今日はバレンタインデー。
年に一度の告白の日と言っても過言ではないこの日、職場もバレンタインモード一色である。
通勤早々、院内の女性たちに囲まれ、中心にいる人物なんて、見なくても分かっていた。
『岩崎先生~!』
なんか、去年も見たな、この光景。
去年はこんな朝っぱらからでもなく、病院玄関でもなく、昼休みに食堂であらゆる女性たちに本命チョコレートをもらいまくっている岩崎先生の姿だったけど。
(……チョコを用意しなくて正解だったってことか、これは。)
騒々しい玄関から、足早に去りながら、そう思った。