THE 番外編。
――最悪だ…。
一人残されたリビングで、私はとてつもない後悔に襲われていた。
最早立っていることもままならず、ずるずると床にへたり込む。
メイド服を着て、自分を鏡に写した時からわかってはいた。
こんな服、私には似合わない。
こんなフリフリがいっぱいで、可愛い要素だけが詰められた衣装なんて、私のキャラとは不釣り合い。
そう思ったからこそ、煌はどこかに行っちゃったんだろう。
見てるだけで目の毒、とか思われていたりして…――
こんなことなら、素直に薫の言うことに従うんじゃなかった、と完全に気分が滅入っていた瞬間
『――茉央。』
「…?」
どこからか帰ってきた煌が、私の名前を呼びながら私の目の前にしゃがんだ。
泣きそうな私の目の前に差し出されたのは、高級チョコレートの洋菓子だった。
「え……。」
『今はこんなもんしかないけど、』
そう呟いて、彼は私の右手を掴むと、優しい手つきでその菓子を私の手の中に置いた。