THE 番外編。



「あり…がと。」

『どういたしまして。』


そう言って、お互いに笑いあう。

こんな特別な日でも、変わらない彼を思う大切な気持ち。


『その格好、よく似合ってる。』

「……え。」


ふと、煌に目を向けると、私を見下ろす煌の瞳が、どこか淫靡に輝いた気がした。

いや――…まさかね。

煌に限ってそんな趣味はない、と自分に言い聞かせるけど、煌の微笑みがいつもと違う、何かを企んでいるようなものへと変化していくのが見て取れてしまった。


『俺ばっかりお菓子をあげるのも…な?』

「え……ちょっ、と」


足に力が入らない私が、床を這いながら後ずさりしつつ、煌から逃げていたのに、悲しくも壁に背が当たってしまった。

その間、煌は私との距離を容赦なく縮めてくる。


『Trick or treat.』

「……っ」


差し出された右手。

以上に発音の良い英語。

そして、有無を言わさない煌の微笑み――


煌のヤツ、

私がお菓子用意してないこと分かってて、絶対言ってる…!!


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