THE 番外編。
『お菓子くれないと、イタズラするぞ。』
「う……。」
背に壁、目の前には煌。
私に逃げ場なんてなかった。
初めて会った夜と同じ。
煌は私が逃げられないのを分かっていて、わざと意地悪なことを言う。
彼のサディストっぷりは収まるどころか、さらに加速している気がした。
『茉央…用意してないの?』
「…っ、」
『俺に仕掛けたら、お返しが来るとは思わなかった?』
完全に、Sスイッチが入ったらしい煌は、容赦なく私に言葉を浴びせてくる。
『もしかして…俺にイタズラされたかった、とか?』
「――え…」
何やら、雲行きが怪しくなってきたのを、瞬時に察した私。
いや、元々雲行きは怪しいんだけど――…
いつもと、違う、気がする。…なんていくか、私への、攻め方が。
……って、まるで私がMみたいじゃない。
『じゃ、遠慮なくイタズラしちゃおうかな。』
「ひゃっ…!?」
突然、フワリと体が浮いて、咄嗟に彼の首元にかじりつく。