THE 番外編。
Merry Christmas 2015

溺愛ショコラ 編




――茉子 Side――


♪~♪♪~~


「はぁ…っ、はぁ…っ」


2015年12月24日

PM20:30


世間はクリスマスイブ。

一歩外に出れば、クリスマスの定番曲が流れ、街は様々なイルミネーションで色づき、人が溢れかえっている。

この世にカップルしかいないのではないかと思うような、幸せそうな恋人達の雑踏のど真ん中、私――宮野茉子は、今年買い替えすぎて何足目かももう分からなくなってしまったパンプスの音を立てながら、全力疾走していた。

聖なる日を祝い、賑わう街から少し曲がれば、これまた今年、何回訪れたのかも分からない高級マンションがそびえたっている。


時刻はもう8時過ぎ。

原稿の入稿締め切り時間は――25日の深夜0時


24階で止まっているエレベーターが1階まで下がってくるのを待っている時間さえ惜しくなった私は、この時期には似つかわしくない額に滲んだ汗を手の甲で拭うと、エレベーターの横にある階段へ足を向けた。



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