秘密


「このはちゃん、だよね?」



名前を呼ばれた瞬間、私の頭の中に眠っていた記憶がよみがえってきた。



「良くん…?!」



「久しぶり!」



目の前に立っている子の名前は、今野良くん。



小学生のころ通っていたピアノ教室で一緒だった子だ。



良くんはピアノが上手で、同い年なのに私によく教えてくれた。



それで仲良くなって、よくふたりでいたずらして、先生に怒られたりもした。



たしか、引っ越してピアノ教室もやめちゃったんだよね。



「戻って来たの?」



「うん、4月から。父の仕事の都合でね。」



「そうなんだ!」



そういえば、4月に転校生が来たって、話題になってたような。



良くんのことだったのか!



< 22 / 32 >

この作品をシェア

pagetop