秘密



どきっとした。



うちに連絡が取れたってことは、この時間はお母さん病院だし、たぶん直兄だ。



どうしよ、直兄、迎えに来るのかな…。



ちらっと葉子のほうを見ると、同じことを考えていたようで、にやにや笑っていた。



「よかったじゃん。」



「え、なっ」



思いっきり、動揺してしまった。



「じゃあ私、このはの荷物持ってくるね!」



葉子が張り切った様子で保健室を出て行った。



「このはちゃんって、お兄さんいるよね、確か」



その場にいた良くんにそんなことを言われてびっくりした。



「あ、あ、うん!!」



わたしはうんうんと首を縦に振る。



「昔、ピアノ教室にこのはちゃんのこと迎えに来てたの、見たことある気がするよ。」



「あ、そっか、よく覚えているね~」



「うん、すごく、仲が良さそうだなーって」



良くんがそう言って笑う。


< 30 / 32 >

この作品をシェア

pagetop