ココアのアイ



「ふわあーあっ」

「今日も眠そうだね、ここちゃん」

「んー…昨日も遅くまでラジオの仕事を…」

「仕事?」

「え!?あっ、ラジオの…ラジオを聴いててさっあはははっ」



あっぶねー…
いくら友達の未歩でも知られるわけにはいかないのです。



「もしかして“ココアのアイ”聴いてた?」

「う、うんそう、それ!」

「いいよね、あれ!DJのココアちゃんが好きなんだーっ」

「あはははっ…」



まさかのまさかで、そのDJ・ココアが私なんて。
だーれも気付かないだろうなー。




「こっこちゃーんっ」

「…来たか…」

「おはよー!ここちゃん、未歩ちゃんっ」



後ろから笑顔でやってきたテンションの高い奴、南 凌真。

何故か懐かれてしまって、随分と仲良しみたいになってる。



「あー…おはよう。
いい加減“ここちゃん”てのやめてくれるかな」

「何で?未歩ちゃんも“ここちゃん”て呼んでるじゃん」

「未歩は別なの!」

「いいじゃん。俺の好きなDJ・ココアちゃんと同じ名前なんて貴重だよー?」



はいはい、と軽く流して。

私は「じゃあ行ってくる」と未歩に伝え、席を立った。



「あ、これから放送?」

「うん、委員会の仕事だからさ」

「俺、ここちゃんの放送も好きだよ。頑張って」

「どーもっ。じゃね」






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