ココアのアイ



ナイスフォロー、未歩!

そしてそれに便乗して違うと言うことをアピールし、この男を黙らせる私。



「ところで、みなみん」

「何だよ、その“みなみん”て」

「あんたのあだ名じゃん」

「えー、もうちょっとマシなのないわけ?」



うっさい!
文句言ってんな!

…決めた。
今から“みなみん”で定着させてやる。



「みなみんはさ、ココアちゃんのどこが気に入ってんの?」

「え、何、決定ですかそのあだ名」

「質問に答えろって」



するとみなみんは、にへらっと笑った。

そう、まさに“にへらっ”という効果音がピッタリの笑顔。



「そりゃー、あの透き通るような綺麗な声!
そしてあの癒しのトーク!」



うわ、気持ち悪…



「もう俺、ココアちゃんのラジオ聴かなきゃ寝れねーもん」


中毒だよ、それ。病院行け、病院。



「俺の中のココアちゃん像は、女の子の中の女の子だな。
サラサラロングヘアーで素敵スマイルで、スタイル抜群のワンピースが似合う人形みたいな子」



どこの世界にそんなメルへンな子が存在するんだろう…

そもそも何だ、素敵スマイルって。



「うんうん、素敵だねー」



実際はショートヘアーでスタイル最悪の、ジャージがよく似合う男の中の男って感じの女の子だけどね。



「お前、聞いといてその返しはないだろ」

「え、至って普通ですけど」



軽く引いただけだよ、うん。



「トイレ行こーっと」

「何だそれ」




そういって、そそくさと逃げる私。

これ以上、みなみんを軽蔑しないうちに、ね。








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