ココアのアイ
振り向くと、何故かみなみんがいた。
え、いつの間に来たんですか…
「てゆか、関係者以外立ち入り禁止」
「大目に見てよ、ここちゃん」
「やだ」
やだって言ったのに、みなみんは勝手にイスに座った。
機械のスイッチを指さして、これ何のスイッチ?とかぼやいてる。
「勝手に押すなよ?」
「うん、壊したらやばいから押さない」
「んで、何しに来たわけ?」
「んー?まだここちゃんいるかなーと思ってさ」
ほんとならもう仕事は終わったし、タイマーをセットして帰ればいい。
でも私はギリギリまで居残ってから、ラジオの仕事に向かう。
「もうすぐ出るけどね。
何、あんた部活やってたの?」
「おー。バスケ部」
「ふーん…」
みなみんは制服じゃなくて、体操服を着ていた。
放課後に着ている体操服は、私にとってほんとに羨ましい姿だ。
「それはそれは、お疲れ様です」
「ここちゃんも部活やればいいのに」
「…委員会があるしねー…」
もう一度外を見ると、もうだいぶ生徒はいなくなっていた。
私も立ち上がって機械の電源を切り、鞄を持つ。
「さて。私は帰るんで、早く出てって下さーい」
「俺も帰る。一緒に帰ろ」
「…何で」
「いーじゃん、たまにはっ」
たまにも、何も。
方向は同じなのか?
大体私、これから仕事だし。
バレたら困る!
「…私、この後用事あるから行くとこあるんだけど」
「んじゃ、途中まで一緒しよーぜ」
そう言ってみなみんは、スタスタと放送室を出た。
何て勝手な奴なんだ…
.